Origin Diary - Saturday 6th July 2013

Ayaka Nishi | July 19 2013 | 0 Comments

Origin Project3日目。
今日は、H-Farmという、ヴェンチャービジネスのインキュベーターを訪ねた。
ここには、若いベンチャービジネスのオフィスが沢山集まっていて、
まるで、大学のサークルの部室がならんでいるたいな感じ。
ここでは、ベンチャー支援だけでなく、スロー・フードや農業も含め、色々と絡めてやっているみたい。

H-Farmは他にもインドのムンバイ、アメリカのシアトル、
イギリスのロンドンにもあるとの事。
公園のような広大な芝生の中にこのインキュベーターはあります。


今回、若手ベンチャー企業家達4人がファッションに関連する
ベンチャーのアイデアを発表するというので、そのプレゼンを聞きました。
商品をトラックできるGPSのチップ入りタグをつけるアイデアや、
オンラインで商品のサイズがわかりやすく表示するためのプログラムなどのアイデアが発表されました。

今回プレゼンをした若手ベンチャー企業家達
コンピューター系の人が中心だったので
Face Bookの創始者のマーク・ザッカーバーグみたいな
少しNerd(オタク)な感じの人たちが多く、
ファッション関係者30人 VS 若手ベンチャー企業家達という
あまり噛み合っていない微妙なアンバランスが面白かったです。

でも、実際はどんな分野も突き詰めていけば、オタクの粋に入ってくるので、
私を含め、今回集められたデザイナー達も、結構個性的な人が多かったと思う。
(私も沢山骨のジュエリーとか作ってるし・・・。)
ファッションも突き詰めると、オタクに通じるものはあるのだと思う。

その後は、Origin ProjectのLaunchイベントという事で、H-Farmの会議室で
イタリアのヴェネトにマニュファクチャー関係者や、ヴィツェンツァのトレードショー関係者
を集めて、イベント内容の説明や意見交換会が行われました。
世界中にちらばってるデザイナーと、イタリアのマニュファクチャーが
一緒に仕事をするのは、はやり言葉の壁や距離の壁、コストの壁など色々あるので、
それらについて、色々と話し合いがもたれました。

このOrigi Projectは来年の5月にデザイナーとマニュファクチャーとの共同展示のショーを目指しており、
まだスタートしたばかりで、今はまだはっきりと形が見えないプロジェクトですが、
今後、どのように進行していくのか・・・とても楽しみです。

そして、この日の夜は、メンバー全員が過ごす、最後の夜でした。
Origin Projectメンバーは一度ホテルに戻り、みんなお洒落をして、Origin Launch Partyへ。



このパーティが開催されたヴェニスの少し外れにあるVilla、Ca’Maroccoはいかにも、
ヴェニスのお金持ち達が集まるお屋敷という感じのスペースでした。

壁には、昔の富豪がアフリカからハンティングして持ってきたと思われる、剥製の数々。
きっと、このVillaは昔からの富豪の別荘か何かを改築して作ったVillaなのでしょう。
象やキリンや、ダチョウの首の剥製が壁から飛び出ていて、まるでNatural History Museumの様。
動物好きの私としては、ここまで、動物の首が並ぶと、ちょっと複雑な気持ちに・・・・。
ここで、何代も続く、歴史あるイタリアの富豪の本当の豊かさを感じました。

やはり、ラグジュアリーの歴史を考えると、イタリアは、
長い歴史のある国なので、アメリカの様な移民の国とは違った深さを感じます。
特に、今回私達が滞在していたヴェニスの近くのVicenza(ヴィツェンツァ)はイタリアの
中でも有数の裕福な街として知られている町だとか。

その歴史ある高級ブランドのマニュファクチャーが、アジアのマニュファクチャーに押されて、
廃れつつあるというのは、時代の流れとはいえ、勿体無いと思います。

世の中の動きというのは、今いる人たちの思考、興味のベクトルなので、
廃れて消えていくのは、時代に求められていない物だという考え方もあります。
しかし、本当に、それでいいのだろうか・・・。
せっかく生まれた知的財産(技術)を、効率化という世の中の流れで、
失ってしまっていいのだろうか・・・。

手作りでニューヨークのスタジオで一つ一つジュエリーを作っている私も、
インハウスプロダクションと、マスプロデュースという間で揺れているので、
今回の動物の剥製をみながら、白ワインで酔った頭で悶々と考えました。


こんな、剥製だらけの不思議で、面白い個性的なデザイナー達と
ヴェニスで過ごせる幸せを噛み締めながら、
Origin Projectメンバーと最後の夜を楽しみました。
私は、まだまだ、デザイナーとしては、これからだけれど、
こんな風に、世界中からの多くのデザイナー達との素敵な出会いを

自分の作品を通して実現出来た事は、本当に幸せな事だと思いました。

パーティも終わり、帰りのホテルへ帰るバスでは、
Not Just A Labelの創立者のStefan が、スピーチをしていました。

「これで、一通りのOriginプロジェクトのプログラムは終わりです。
滞りなく、プログラムを進めることができ、みんなの協力に感謝します。
まだ、Origin Projectは始まったばかり。君達の動き次第で可能性も広がるから、
これからもみんなどうぞよろしく頼むよ!でも、とりあえず、今回はどうもありがとう!
Every Body, Do you みんな、Vicenza(ヴィチェンツァ)が好きか~?」

の掛け声に「オー!」とデザイナー達が拳をあげてヒートアップ。

そしてバスでダンスミュージックがかかり、
パーティバス状態になり、バスの通路で踊りだすデザイナーも続出。

この時かかっていた、Empire of Sunの「Alive」という曲の歌詞が
なんだか心にしみた。
たった3泊4日いただけなのに、
同じクリエイター同士でファッション業界でデザイナーとして戦っている
戦友のような感覚が、気持ちを近づけたのだろう。
せっかく、こうしてヴェニスで出会えたのに、
明日みんな、それぞれに世界に散っていくのかと思うと
お互い名残惜しさがにじむ夜となった。







その時かかっていた曲の歌詞の翻訳に挑戦。


"Alive"

Days go by my window,
World slows down as it goes,
Goodbye to last night,
Lost my eyesight,
Can't you help me see?
(過ぎ行く僕の日々
 世界は雪で覆われてしまった
 昨日の夜にさよならを告げ
 僕は視力も失ってしまった。
 君、僕の目になってくれるかい?)
 
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Alive, alive
(毎分、君に愛を感じている。
 だって、君は、僕をとても生きているって実感を持たせてくれるから。
 本当に生きてるって。)

Waking in the snow,
Tracing steps of you,
Swimming through the smoke,
Wrapped in velvet gold,
Can't you help me see?
(君の歩いた後を辿って、雪の中を歩く
 煙の中を潜り抜けて泳いでゆく
 金のヴェルベットに包まれてるみたい。
 君、僕の目になってくれる?)

Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Alive, alive
(毎分、君に愛を感じている。
 だって、君は、僕をとても生きているって実感を持たせてくれるから。
 本当に生きてるって。)

Can you describe to me
All the world that you see?
Oh, I need you so much,
I'll just wait
(君が見た世界を全て僕に話してくれる?
 ああ、君の事がとても必要なんだ。
 君の事をただ、待つよ。)

Freedom is within you,
Giving makes us feel good,
Hello to my people,
Say hello to the future,
Freedom is within you,
Giving makes us feel good,
Hello to my people,
Say hello to the future
(君と一緒だと自由になれる。
 それで僕達は幸せになれる。
 みんなにこんにちは。
 未来にもこんにちは。
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Alive, alive
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Loving every minute 'cause you make me feel so alive, alive
Alive, alive


(毎分、君に愛を感じている。
 だって、君は、僕をとても生きているって実感を持たせてくれるから。
 本当に生きてるって。)


この曲のプロモーションを見ると、微妙なマスクをつけた
人が歌ってるので、あれ・・・?という感じなのですが、
この歌詞を聴いていて思ったのは、
結局、物を作るというのは、とても孤独な作業で、みんなそれぞれ普段は、
自分に向き合って制作を続けているから、自分の世界に閉じこもりがちだけど、
クリエイター同士が集まると、同じ様な状況にシンパシーとを感じて
通じるものがあるので、すぐに、打ち解けられるような気持ちになり、
絆のようなものを感じたのかもな・・・と思いました。

仲間出会いと交流することで、
自分の迷っている道が少し見えて、自分も生きてると実感できる。
そんな、イメージが反映されてる歌詞だなと思い、
この時聞いていてとても印象的な曲でした。

こうして、Origin Projectでの最後の夜は更けていきました・・・。